CEO倶楽部経営者インタビュー

CEO倶楽部経営者インタビュー

第1回 株式会社TRUST

株式会社TRUST 代表取締役 山口 一

株式会社TRUST 代表取締役 山口 一

 

―まず御社の事業内容を教えてください

 

山口氏:メイン事業は空間デザイン事業です。施工割合としてはオフィスが6割、店舗が4割で、最近はオフィスが徐々に増えています。他にはHP制作や広告運用、SNSプロモーション支援を行うWEB事業、建築測量事業も行っています。ベーグル専門店もありますよ!

【空間デザイン実績】

・オフィス

・店舗

―様々な事業を行っていらっしゃいますね。

 

山口氏:当初は建築測量事業のみをやっていたのですが、リーマンショック後に仕事が激減してしまいました。その経験から一つの業界一つの業種に絞っているとリスクが多いため多角化していこうと考えた際に、空間デザインの仕事をいただき、これだ!と思いました。

そして、主軸である空間デザイン事業のお客様からのご要望をワンストップで応えられるようにと新たな事業が生まれています。例えば、物件から一緒に探して欲しいというご要望があり宅建士の資格をもったスタッフを採用。不動産の売買・仲介が可能に。また、お店の“集客”やオフィス移転と同時に“採用力”をあげたいとお悩みのお客様に、HP制作も内装のブランディングとセットでご提案できるようになりました。

―それは大変強みになりますね。

 

山口氏:自社に施工管理と設計、職人、WEB制作部隊を抱えているのは強みです。通常は提携する営業会社の方がお仕事をいただいてきて、それを下請けの各工程ができる会社に投げるという流れになっています。ですので、弊社は同じ工事でも一気通貫で行うことでマージンが発生せず他の企業さんよりも安くできます。また、Web制作についても、システムから制作したりできるので、単体で他社さんに頼むよりもメリットが出せると思います。

あともう一点、全国対応が可能という強みがあります。チェーン展開のお手伝いもしていますので、全国にパートナーや職人さんがいらっしゃいますので、日本全国どこでも対応ができます。

 

―会社に併設されているベーグル店に関してもお伺いしてもよろしいでしょうか。

 

山口氏:建設業界のイメージって一般的に汚くて男くさそうというものがあり、私はそのイメージを変えたいと思いました。そのほかにも多摩で創業から事業を営んでいるからこそ地域貢献したい。そして、福利厚生として社員の為に何かやりたいという想いがありました。そこから考えた末、カフェを作り、一般開放しました。結果として地域とのコミュニケーションの場や美味しい食事やコーヒーを楽しめるおしゃれな空間となりました。またその他にも、空間デザイン事業のショールームの役割だったり、社員食堂のようだったりと、いろいろな顔を持つカフェとなりました。

―過去に飲食業の経験があったのですか。

 

山口氏:元々建築測量の職人でしたので、飲食はまったく経験がありませんでした。
当時ベーグル専門店を営んでいた姉から商品を卸してもらい、ベーグルのランチプレートなどを提供していました。とても人気だったのですが、事情があり、一度提供をストップしました。すると、お客様から「ベーグルが食べたい」という要望を頂くようになりました。そうして社内で試行錯誤しながら開発を進め販売すると開店以来の人気商品となりました。そこで、カフェではなく現在のベーグル専門店へと業態変更しました。
しかし、新たな問題が発生しました。当時は店舗と会社が離れており、スタッフ間の交流の少なさ等の不具合が発生してしました。そこでオフィスの一角に併設し、現在も週末は一般のお客様に開放しているので、オフィス内でお客様が飲食したり、社員がお子さんやご家族を連れて遊びに来たりしています。

―社員さんと会社の雰囲気がとても良いですね。

 

山口氏:社員同士仲が良くて、家族みたいです。会社からのアクセスが良い場所に住んでいる人が多く、オープンスペースにはご家族の方が働いている姿を見に来たりしています。

また、オフィス内にベーグル店があることで採用のブランディングになります。同業他社に応募している方は店舗を見て、面白そう!楽しそう!と思ってくれます。そこで他社との差別化が狙えます。働くなら面白そうな方がいいですからね!

―現在、成功を収めていらっしゃいますが過去に大変だった時期はあったと。

 

山口氏:倒産の危機が2度ありました。

一度目は多角化を進めようと多くのことに挑戦し、負債が溜まり債務超過で倒産危機を迎えてしまいました。その危機の中で、今後の成長が見込めた空間デザイン事業に絞りました。
この時の原因は、自分の経営に関する勉強不足です。重要な仕事の管理も確認もしておらず、ある日突然お金がありませんと報告を受けました。その後、様々な人に相談に行くも資金融資はしてもらえず、売却を進められるばかりでした。しかし、どうしても売るのは嫌でした。そんな時、知人に紹介された方に相談したところ、4時間もかけて様々なアドバイスをしてくださりました。そのいただいたものを元に私が社員の先頭に立ち、ひとつひとつ実行していきました。そして、とてもありがたいことに大型案件の受注を頂くことができ、なんとかその危機を乗り越えました。そこからは愚直に淡々と仕事を続けていきました。

 

しかし、そのあと2度目の危機がありました。その時は前回とは違い、様々な対処法も全て試した中での危機でしたので正直もう終わりだと思いました。今回も勿論融資は受けることができず、数か月後には完全にショートが見えている。そのような時、以前からとても尊敬している社長さんと再開する出来事がありました。その方にはまだ1度しかお会いしたことが無かったのですが、2回目のアポイントで事情をすべて説明し、ダメもとで助けてほしいとお願いをしました。メリットも何もありませんと正直に話したうえで、未来のビジョンと私の覚悟を全て伝えました。するとその方は快く助けてくれました。そこから弊社の未来への投資をしてくれた期待に応えるべく、より一層業務に打ち込み半年で業績を回復させ、現在の成長を生み出すことができました。

―その二度の倒産危機の際は、どのような心境でしたか。

 

山口氏:どんな危機に陥っても、どうやって会社を守っていくかしか考えていませんでした。私は、会社は社長が諦めなければ倒産はしないと思っています。それなので、最後まであきらめずに進むことで道が開けると信じて突き進みました。

 

―従業員さんはこのような危機があったことは知っているのですか。

 

山口氏:従業員にもすべて話しました。すべての状況を開示し、来月も保証できないということを伝えたうえで、諦めるつもりはないから力を貸してほしいといいました。私にとって社員はやはり家族のような存在で、心から社員全員を信じています。どんな状況でも会社を好きでいてくれて、一緒に乗り越えるために頑張ってくれると。バカなくらいまっすぐな考えかもしれません。でも信じた通り、メンバー全員が力を貸して一緒に乗り超えてくれた結果、今とても好調です。前年度より売り上げ150%増を記録しました。

―今、コロナウイルス等で社会全体が大変な時期かと思いますが御社はいかがでしょうか。

 

山口氏:今は勿論ピンチですが、色々なチャンスがあると考えています。今回の状況から起こりうる事を先読みして、お客様から出てきそうなニーズに応えられるように動いています。そして、数年後にはIPOを目指しています。「建築×IT」の分野でサービス開発も初めて、いくつかリリースも予定しています。危機を乗り超えたからこそ、大きな目標を掲げることで、より一層会社全体のまとまりも強くなると思います。この目標に向かい一丸となって愚直に頑張り続けることで会社の価値を上げて、強力なファンを作っていきたいです。

 

聞き手=芦田 敏之

 

 

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